
採用調査・人事調査
1.バックグラウンドチェックの重要性と内容
アメリカでは、従業員を採用する場合に、レファレンスチェック及びバックグラウンドチェックを行う事はとても一般的です。
日本では、採用選考において「応募者のプライバシー権」と「企業によるセンシティブ情報の収集権」のどちらを優先するのか、個人情報保護法とも関連して、企業としては非常に悩ましい時代となりました。もとより、社会的差別の原因となる調査を認めるものではありません。それでも、センシティブ情報の中には「反社会的勢力との繋がり」、「思考や宗教の危険な偏重」、「金銭トラブル」、「心身の不調」、「著しいコミュニケーション能力の欠如」などのネガティブ要素が含まれます。さらに、一度採用すれば解雇することは極めて難しいです。
株式会社ライフリサーチは、確かな採用調査こそが企業防衛はもとより、応募者にとってもミスマッチを防ぐために必要と考えています。
2.採用時における調査の必要性
近年、人財不足という社会状況から各企業とも「新規採用」は最重要経営課題となっています。「企業は人なり」の格言はAI時代に入った昨今でも揺るぎない金言なのです。
一方、人を雇うということは、企業にとって非常に大きな投資です。その投資を無駄にしない為に、またネグリジェントハイアリング(不用意な採用-雇用者責任が問われます)や企業防衛という観点からも採用調査(人事調査)は必要不可欠な作業です。面接、試験、適性検査だけで採否の判定をするのは非常に難しいものです。また、人材紹介会社の推薦文ほど無責任なものはありません。
例えば、①履歴書や職務経歴書に事実と異なることを記載している人(経歴詐称)は調査対象者の30%前後と高い数字が経験則上でています。次に②金銭トラブル、③性格面(コミュニケーション能力の欠落、責任感の欠如等)、④職務能力、⑤メンタル面(精神疾患、心療)、⑥就業・出勤態度、⑦異性関係、情報漏えい、生活状況、パワハラ、セクハラ、刑事事件等々、何らかの問題を抱えている応募者が大変多くなっています。
このように、いわゆるトラブル保有因子を持った人を見過ごして採用してしまうと、労務管理の現場が混乱したり、時には経営面での大きな事件にまで発展したりしかねないこともあります。
企業としては法律との整合性の中で、応募者の職務遂行能力に関する情報(経歴詐称、職務能力、勤怠、退職理由、性格、素行、健康、反社会性などの関係)を知る権利は当然認められていると思います。
3.採用調査の委任は法的に可能なのか?
①採用に関する調査は合法
まず大前提として採用時の調査を禁止する法律は存在しません。平成19年6月「探偵業の業務の適正化に関する法律」(通称:探偵業法)の施行後は探偵業を兼業している調査会社の場合、探偵業の届け出をする際に監督官庁である公安委員会にも事業内容(採用・人事調査も含む)を提出しています。つまり、採用調査も正当業務として認められています。
②差別につながる調査の禁止
さらに「厚生労働省の指針」の中で「公正な採用選考の基本」として個人情報保護の観点からも、職業安定法第5条の4及び平成11年告示第141号により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められないと明記しています。 社会的差別の原因となる個人情報として「同和問題」との関係があります。当社では差別につながる「同和調査」は一切致しておりません。
③結論
人材の採用活動は性善説に立って行いたいものです。しかし、残念ながら故意に学歴や経歴を詐称したり、その他ネガティブ要素を持っていたりする応募者は一定数いるものです。むしろ、増加している傾向にあります。リスクヘッジのためのアクションを何もせずに「こんなはずじゃなかった」というトラブルを抱えないために、そして採用調査が法律で禁止されていない以上、「厚生労働省の指針」に準拠した合法な調査は行うべきでしょう。 採用調査を利用することで、応募者の実像を正確に把握してミスマッチを減らし、内定後・採用後の不測の労務トラブルのリスクを軽減することができるのです。 御社の採用活動の中に「採用調査」を導入することは有効な施策であると言えるでしょう。